3D Magazineインタビュー企画第2弾です!

今回は、臓器の立体模型や人工骨など3Dプリンタの医療応用について、「3Dプリンタで出力した臓器、骨モデルの製造、販売」など医療分野に関わる事業を展開するメドコネクト株式会社代表取締役 花田徳康さんにお話を伺ってきました。

—はじめに、花田さんが「3Dプリンタで出力した臓器、骨モデルの製造、販売」を始められた経緯を教えてください。

これまで14年ほど画像診断系医療機器のエンジニアをやっていて、医療機関を国内4000くらいまわっていた経験があります。その中で、医療分野での3Dプリンタの可能性があると感じていたんです。

こちらは実際の患者さんの肝臓を、CT撮影した医用画像を元に3Dプリンタで出力したものです。素材は樹脂でできていて、中にある白い小さな球体は腫瘍です。

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そして、こちらがチワワの骨のモデルで、ナイロンでできています。実際の医療の現場では必要な部分のみを出力して使うため、このように頭から首を全部出力することはないのですが。

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—なるほど。肝臓の腫瘍も、骨の形も、細かいところまで再現されていますね。これならどこに腫瘍があるかなどすぐに確認できてとてもわかりやすいです。
現在、こういった医療分野の3D出力業者は他にもあるのでしょうか?

医療分野に特化ではないところも含めて、全国で5〜6社はあります。

—意外と少ないんですね。

使用する素材によっては素材価格が若干高いことや、医療においてはまだ診療報酬化(いわゆる保険診療)されていないことが要因のひとつと考えています。しかし、一部保険点数化されている術式・部位もあり(主に頚椎、下顎、頬骨など)、「画像等手術支援加算」といって、手術前に得た画像等により作成された実物大臓器立体を手術を補助する目的で用いることで、医療機関、患者さんともにメリットをもたらすこともできます。
最近では、患者さんに合ったカスタムメイドの人工骨を3Dプリンタで出力する開発も進んでおり、2015年には実用化される見込みです。

—そういったものを開発して、実用化されるまで大変そうですね。

例えば、手術器具や薬剤などと同じで、診療診察、手術などで使うためには関係機関への申請や承認が必要となります。また、こういった医療機器や医薬品を製造販売するためには、業許可も必要となるため、開発から実用化までには時間がかかります。

—申請から承認まで、どのくらいかかるのでしょうか?

申請〜承認まで、ものによりますが、1ヶ月で終わるものもあれば、半年から1年かかるものもあります。

—医療業界側からすると、3Dプリンタを積極的に活用していこうという流れはあるのでしょうか?

ありますね。国内の大学病院をはじめとする医療機関での利用実績が増えてきています。また、すでに3Dプリンタを設置している医療機関もありますよ。

—先ほど肝臓のモデルを見せて頂きましたが、他にはどのような患者さんがどんな時にこの3Dプリント臓器を使うことになるのでしょうか?

例えば、臓器移植するとき。Aさんの肺の一部を、Bさんに移植する、といった手術を行う際に、肺胸腔モデルを3Dプリンタで出力して、実際の大きさやどのように縫い付けることができるかを確認するのにも使います。 また、ゴムライクのような柔らかい素材で臓器を作れば、メスを入れたり、実際の患者さんの手術を想定してシュミレーションすることができます。そういった練習用の柔らかい素材でできた臓器のモデルはあるのですが、本物の患者さんのものではないし、3Dプリントで擬似的に手術を行うことができるのは大きいですね。

—なるほど。臓器のモデルを作って目で見て確認をするだけでなくて、色んな使い方ができるんですね。

他にも、オーダーメイドの靴を作るのにも利用できないかと思っています。リュウマチや外反母趾の患者さんのためにオーダーメイドの靴を作るメーカーがあって、義肢装具士が足の型をとって作るんですが、靴を作るのはとても難しく技術が必要なんです。靴を作る際に木型を作らなければいけないんですが、これを作るのに技術が詰まっていて、3Dスキャナーで型をとり3Dプリンタで出力してすぐ作れるわけではないんです。今後、患者さんにあった靴の木型を3Dプリンタで作るなど、テクノロジーを使って解決できればな…と思っています。

—そうなると、3D技術を使える人たちがもっと増えていかなければなりませんね。

そうですね。将来的には、医療機関の中で3Dプリンタを持ち、モデリングをはじめとするデータ作成、出力ができるのが理想的なので、そのサポートもできればと思っています。

一口に「臓器や骨を3Dプリントする」と行っても、医療の知識がなければそれを出力して活用させることは困難で、例えば骨であれば神経が通るために最初から空いている穴があったり(人間の頭蓋骨であれば頭頂部に最初から「切れ目」が入っていたり)、それらが必要な空洞や切れ目なのかどうかを見分けてモデリングや出力をするには専門的な知識と判断力が必要とされるでしょう。3Dプリンタに関する知識だけでなく、これまで医療業界で培った知識や経験がある花田さんだからこそ医療と3Dプリンタを組み合わせて新たなソリューションを生み出し提案することが可能なのだと感じました。

花田さん、インタビューにご協力頂きありがとうございました!

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